横浜地裁 国・建材メーカーの責任を断罪

国、6度目の敗訴!

2017年10月24日、横浜地方裁判所第2民事部(大竹優子裁判長)は、石綿関連疾患を発症した被災者及びその遺族が国と石綿含有建材メーカーを訴えていた建設アスベスト訴訟において、国及び建材メーカー2社(ニチアス、ノザワ)に対し、総額約3億円の支払を命じる判決を言い渡しました。

建設アスベスト訴訟は、全国6つの都道府県で争われていますが、これで国は6地裁全てで敗訴したことになります。

アスベストについては、今回の判決でも認定されたように、1972年にはILOなどの国際機関において発ガン性が明確に認められ、国もアスベストの発ガン性を前提とした規制措置を講じなくてはならない段階に入っていました。それにもかかわらず、国は従前からの規制措置を漫然と継続し、実効性のある規制措置を講じることを怠り続けてきました。国民の生命や健康を守るためには「適時かつ適切に」規制権限を行使しなくてはならない、それにもかかわらず国がやるべき事を怠ってきたことは違法であると6つの地裁が国にレッドカードを突き付けたのです。

 

建材メーカ2社にも損害賠償を命じる!!

さらに、横浜地裁は建材メーカー2社(ニチアス、ノザワ)にも損害賠償を命じました。

建設アスベスト訴訟では、建材メーカーがアスベストの危険性に関する警告表示を適切に行ってこなかったことの責任は、2012年12月5日に言い渡された東京地裁判決で明確に認められていました。そのため、残る唯一の争点は、各メーカーが製造した建材が各原告の石綿関連疾患発症の原因となったのかという因果関係の点だけでした。

この点について、2016年1月29日に言い渡された京都地裁判決は、共同不法行為の理論に則り、各建材において10%以上のシェアを有する建材メーカーに損害賠償を命じていました。この京都地裁判決に引き続き、横浜地裁は、建材の製造時期や各建材との関係での建築現場における作業内容に照らして、石綿関連疾患発症の原因となった加害企業を特定できた被災者との関係で、建材メーカーらに共同不法行為の成立を認め、損害賠償を命じたのです。

 

今こそ、被害者を救済する制度の創設を!!!

今回の横浜地裁判決によって、6度目の敗訴判決を受けた国の責任は不動のものとなりました。また、京都地裁判決に続いて、建材メーカーとの関係で共同不法行為の成立が認められ、損害賠償が命じられたことは、建材メーカーの責任を明確にしました。

重篤な石綿関連疾患のために多くの被災者が命を失っていく現状に鑑みれば、訴訟という時間のかかる手段をとらなくては、救済を受けられないということはあまりにも無慈悲です。

国の責任が最早、不動のものとなり、建材メーカーの責任も明確になった今、国と建材メーカーは直ちに被害者を救済する制度の創設に向けて、真摯な取組を始めなくてはなりません。

国と建材メーカーは経済的な効率に目を奪われ、多くの国民の生命と健康を軽んじ、現に多くの被害を生み出してきました。この誰も否定できない事実を、国と建材メーカーは真正面から受け止めるべきです。

その上で、国と建材メーカーは、せめて被害者を救済する制度の創設と今後の被害の拡大防止については、経済的な効率ではなく、人間の命と健康を最も重視するという立場から、直ちに行動をとるべきなのです。

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